顛倒の衆生
如来寿量品という経典の中に「顛倒の衆生(てんどうのしゅじょう)」という言葉があります。
本当に大切なもの、大事なことを忘れているのが私たち衆生の姿である、と説きます。まん延した疫病も収束に向かい、今月の連休には行楽地に人があふれました。
それ自体はたいへん結構なことですし、お仕事や勉強からしばし解放され、心身をリフレッシュすることはきわめて重要なことであると思います。しかしながら、我々の日常は疫病や天変地異・災害の危険に絶えずさらされている、ということを忘れてはならない、とも考えます。気分が高揚している時こそ心を落ち着けて、今すべきことはなにか、ご両親やお子さんの今後のために今、手を打っておくべきことはなにか、気候のいいこの時期にじっくりと思いを巡らせることも大切ではないか、と考えます。
先月から石川県珠洲市をはじめ、国土のさまざまな地域で地震が頻発しています。当山の所在する川口市においても、2021年10月に震度5という大きな揺れを経験しました。皆様がお住まいの地域においてもいつ、いかなる災害が起きるか、わかりません。いつ、何が起きてもあわてることのなきよう、避難経路・避難場所の確認、確保や非常用持出袋の準備、家族やご親戚の方との連絡体制の確認など、憂いなきよう備えをしておいてください。
ご自身あるいはご家族、ご親戚の住まれている地域のハザードマップ(自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図)も、今一度確認しておきましょう。特に高齢者の方、体の御不自由な方は避難に時間がかかる傾向がありますので、気候の良い日に歩いてみるなどして、避難経路・場所をご自身の足で把握するように努めてください。
なお近隣の皆様はもし大きな揺れ等による家屋の倒壊等の危険を感じましたら、一時的に当山に避難していただくことも問題ありませんので、お含みおきください。