今月の法話

比叡山延暦寺参拝

先日、京都市内から京福電鉄、ケーブルカー、ロープウェイを乗り継いで天台宗の聖地、比叡山に行ってきました。
我々、真言宗の僧侶にとって、天台宗は同じ密教系の宗派といいながら、近いようで実は遠い存在といえます。我々の宗派の開祖である弘法大師さまと何かにつけて比較対象となる伝教大師(最澄さん)のおひざ元となれば、いくばくかの複雑な思いが浮かびこれまでは足が向かず、正直、今回が初めての比叡山訪問でした。
地図で見ると京都からさほど離れていなかったのですが、それはあくまで平面図の上での話で、比叡山はまぎれもなく標高848メートルの「山」でした。ロープウェイを降りてから延暦寺までバスに乗る方法もあるのですが、私はあえて歩きました。結果、結構なアップダウンの山道を20分ほど歩いて西塔に着き、ほとんど拝観客のいない釈迦堂、法華堂を参拝。平日の午前中でしたが寺の方もおられない様子で、自分と向き合う本来の行(ぎょう)はこのような感じなのだろうと、逆にリアリティを感じました。
その後はバスで東塔に回りました。こちらは大講堂、文殊楼などの施設に観光客が大勢見えておられました。根本中堂は改築中で外からその威容は拝見できませんでしたが、中では不滅の法灯が灯っており、法然さん、親鸞さんなど数々の名僧を生んだこの山の、1200年に及ぶ歴史を感じました。国宝殿では三体の毘沙門天立像はじめ数々の仏像が我々を静かに出迎えてくださり、身が引き締まりました。
その後比叡山頂までバスで登ってからロープウェイ、ケーブルカーで下山。我々の宗派の本山は京都の街中(まちなか)にあって、それはそれで便利ではあるのですが、やはり教学を学ぶ場所としては一切の刺激と歓楽から隔絶されたところが望ましいのではないだろうか、と、改めて感じました。
同時に、真言にとどまらず、天台の教えもしっかり学んで、僧侶としての徳を高めていかねばと、誓いを新たにしました。


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