「京都・智積院の名宝」展
六本木・サントリー美術館の「京都・智積院の名宝」展に行ってまいりました。
住職は同美術館の会員となっていますので、今回は学芸員さんによる会員限定のレクチャーも受けられ、実りある観覧となりました。
目玉は何といっても長谷川等伯の筆による国宝の障壁画「楓図」「桜図」。もちろん智積院で観るのが一番なのですが、美術館で観るのもまた別な趣があり、ガラス越しとはいえ近い距離で壮大な作品を見られたのは感動的でした。
そもそもこれらは16世紀末に、豊臣秀吉の子、鶴松を弔うために描かれたもので、写実的ではなく、工芸的・装飾的という言い方がふさわしい筆致です。それだけに豪快に、直接的に、強いインパクトで我々の心に「圧」をもって語りかけてきます。
障壁画のほかにも、十三仏図、両界種子曼荼羅図、数々の経本、はては等伯から影響を受けた昭和の土田麦僊や堂本印象の日本画に至るまで、数々の寺宝や名画に目を奪われました。
当初は和歌山根来にあった智積院の、現在の京都・東山の地における再興は16世紀以降で、特段古いというわけでもないのですが、真言密教の深遠さと障壁画に代表される文化的な価値を併せ持つ独特の立ち位置は味わい深く、その所蔵品の数々をこの機会に一人でも多くの皆様の目に触れていただきたい、と願ってやみません。
会期は令和5年1月22日(日)までですが、12月28日からは展示品が大幅に入れ替わりますので、その前に一度、そして28日以降にもう一度(ただし12月31日、1月1日、3日は休館)観覧されることをお勧めします。
寒い日が続きます。皆様くれぐれもご自愛ください。