今月の法話

能登半島・震災関連追悼法要


今月のお盆、お施餓鬼に際しましては多くの皆様にご来寺いただき、まことにありがとうございました。猛暑、また突然のゲリラ雷雨等でご墓参の予定が立てにくい日々でしたが、檀信徒の皆様のお顔を拝見でき、住職としてもたいへんうれしく思いました。


さて、去る8月25日、26日に、同じ宗派の僧侶14名と能登半島の先端、珠洲市の寺院に伺い、1月の能登半島地震で亡くなられた方の追悼法要を行い、あわせて先方の檀信徒さんにお話を聞いてまいりました。


金沢から珠洲までの有料道路および一般道はすっかり復旧し、快適な道行きとなりました。ただ半島を進むに従い、特に木造家屋の損傷が激しく、ブルーシートをかけられたままの家が多数見られました。特に珠洲市の宝立(ほうりゅう)地域は寺院、木造家屋とも被害が甚大で、言葉を失いました。


被災寺院被災寺院


 


我々は寺家地区の翠雲寺(すいらんじ)さんにお邪魔して、震災で亡くなられた同寺の檀信徒さん、および能登半島地震で亡くなられたすべての方をご供養する法要を行わせていただきました。同寺の損傷も激しく、庫裡(寺族の方が生活される空間)も危険防止のため途中まで土足で入らせていただくほどでしたが、本堂での法要には20名弱ほどの檀信徒さんがご列席いただき、聞きなれぬ真言宗の読経にも熱心に耳を傾け、手を合わせてくださいました。


その後は昼食をともにしながらお話をさせていただきました。中には家が全壊し、避難所を経て仮設住宅にお住まいの方もおられましたが、我々を歓迎してくださり、明るい表情で震災の様子や日常の生活を話してくださいました。


また昼食後には珠洲市の伝統的なお祭り、寺家キリコ祭りで使用するキリコが収納されている倉庫を見せていただきました。





 



高さ16メートルを超えるキリコは倉庫の中でもその荘重な威容を誇り、いまにも動き出しそうでした。毎年9月に行われる祭礼の今期の実施は検討中とのことでしたが、地域のみなさまがキリコを、そしてお祭りを心から誇りに思い、愛し、末永く継承していきたいと考えておられることがわかりました。


 


帰路は弘法大師伝説が残る見附島(みつけじま)にも立ち寄り、読経を行って開祖の足跡をしのびました。



現地に赴かないと感じられないことを山ほど抱え、複雑な思いで帰ってまいりましたが、なにより被災された皆様の明るく前を向いているお姿が印象的でした。復興どころか復旧もまだまだ道半ばであり、人口の減少も続いていますが、遠く離れた埼玉の地から、珠洲市に、能登半島に、以前の輝きと活気が戻ることを、祈念してやみません。


 


 


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