今月の法話

東日本大震災から九年

3月11日で、東日本大震災から丸九年が経過しました。改めまして、亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

毎年この時期には平素にも増してメディアで被災地が取り上げられ、復興に向けて尽力されている方々の様子をうかがい知ることができます。さまざまな困難に見舞われながら、前を向いて頑張っておられる姿には胸を打たれます。

先日あるテレビ番組で、東北のある仮設住宅を出て災害復興住宅に移った高齢の女性が「仮設住宅のほうがよかった」とつぶやいておられました。私は九州北部豪雨で甚大な被害を受けた福岡県朝倉市に何度も伺っているのですが、そちらの仮設住宅でも同じようなお話を何人もの方から伺いました。
仮設住宅はいわゆる集合住宅で、お隣近所との距離も近く、敷地内の集会所に集まれば顔なじみの方がいて、お茶を飲みながら雑談ができる。特に女性の方は人と話すこと自体がストレス解消になると言います。
しかしながら、仮設住宅には法律で期限が定められており、原則二年で取り壊されることになっています。実際には何回か延長されることが多いのですが、いつまでも住み続けられるものではなく、住民の方もどこかで退去し、自治体が建てた災害復興住宅や民間のアパートに移らなくてはなりません。ご近所との距離も遠くなり、心身のバランスを壊す方も出てきます。

檀信徒さんに限らず、さまざまな方々のお話を聞き、少しでもお気持ちが楽になっていただくためのお手伝いをすることも、我々宗教者の務めであると、私は考えています。微力ではありますが、息の長い支援を、今後も行っていきたいと思います。

>> タップで電話をかける <<

Copyright (C) 真言宗智山派 護國山東養寺 - 埼玉県川口市. All Right Reserved.