今月の法話

平均寿命


平均寿命とは、その年に生まれた0歳児が平均で何歳まで生きられるかを統計から予測した数値です。その年1年間に亡くなられた方の年齢を平均したものではありません。


新型コロナウイルスはとりあえず収束の様相を呈しており、市井にも以前の落ち着きとおだやかな日常が戻りつつあるように思えます。しかしながら、世界で450万人以上の方の命を奪った惨禍であることに変わりはありません。改めまして、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。


その影響で、欧米において平均寿命が短くなる見込みであるという発表がオックスフォード大学から発表されました。特に深刻なのは米国で、男女とも2歳前後短くなるであろうとのことです。


そして日本ですが、2020年も平均寿命が伸びており、女性が87.74歳、男性が81.64歳で、過去最高でした。「手洗いや消毒でインフルエンザなどによる死亡者が減ったことが、平均寿命の更新の一因であろう、ただし2021年は(感染力が強いタイプの)新型コロナによる死者が増え、受診や検診控えの影響も出て、平均寿命が短くなる可能性はある」と専門家は分析しているそうです。すべての方が少しでも長くこの世で過ごされ、人生を楽しまれることを願ってやみません。


私は檀信徒さんのご不幸に触れる都度、お通夜の御法話で「平均寿命からするとご長寿、十分に生きられたことと思います」などとお話をすることがあります。しかしながら考えてみると、その方の一生が平均寿命と比べて長かったか短かったか、という考察のしかたは、さして意味のあることではないようにも思えます。大事なことは、その方が、この世で過ごされた一生の中で、いかに周囲の方を愛し、また周囲の方に愛され、社会に貢献されたか、そういったことではないかと考えます。


諸行無常。どんな命も絶えるときが必ずやってきます。いかに悔いなき人生を送ることができるか、そのために日々、何をすべきなのか。改めて考えてみたいと思います。


 


 


 


 


 


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