今月の法話

平成30年3月

仁和寺・雲辺寺の毘沙門天

東養寺の本堂東側にあります毘沙門堂には、開運毘沙門天立像が鎮座されております。毘沙門天は四天王のひとつで、東方の持国天、南方の増長天、西方の広目天とあわせ、「多聞天」という名で北方守護の神として信仰されました。

東養寺では毎年第一日曜日に毘沙門天例祭を開催し、各種祈願を行ってお札をお渡ししております。当サイトでもそれにちなんで、今月は毘沙門天のお話をさせていただこうと思います。

さて、3月11日まで上野の東京国立博物館・平成館において、「仁和寺と御室派のみほとけ」という展覧会が開催されておりました。仁和寺は仁和4年(888)に創建された真言宗御室派の総本山で、応仁の乱で戦火に襲われ荒廃しましたがその後復興し、現在は境内には江戸時代に建立された建造物が並びます。 同時期に植えられた御室桜は4月中旬に見頃を迎えます。平成6年には世界遺産に登録されました。僧侶の修行道場のため通常非公開の仁和寺観音堂内部は、約370年ぶりの観音堂改修工事を記念して東京国立博物館に特別再現されています。二十八部衆に風神・雷神を加えた三十体の仏さまは、弘法大師の教えを、いまを生きる私たちに語り続けています。

また、雲辺寺は御室派の寺院で、四国霊場のうち最も高い標高911メートル、四国山脈の山頂近くにある徳島県三好市の霊場で、かつては「遍路ころがし」と呼ばれる難所とされました。弘法大師は雲辺寺に3度登っているそうです。最初は延暦8年、大師が16歳のときで善通寺建立用の建材を求めての登山でしたが、深遠な霊山に心うたれて堂宇を建立し、これが雲辺寺の創建とされています。

本尊は千手観音坐像ですがそれと別に寿永3年(1184)建立の毘沙門天立像および不動明王が祀られており、伝統的に秘仏となっています。こちらも今回上野で見ることができました。決して大きくはないのですが、厳然たる威容を持って周囲を睥睨するかのようなその佇まいに、言葉を失いました。ちなみに雲辺寺では少なくとも100年以上はこの三尊が並んで安置されていないそうです。そんな貴重な仏様を拝ませていただける貴重な機会をいただいた僥倖に心が震えました。

我々の信仰のよりどころであるお大師様と毘沙門天にかくも深いご縁があったことを認識すると、東養寺に毘沙門天立像があることもまた偶然ではなく、お大師様の配剤であったかと思わずにはいられません。

>> タップで電話をかける <<

Copyright (C) 真言宗智山派 護國山東養寺 - 埼玉県川口市. All Right Reserved.