今月の法話

京都諸寺参拝

先日、京都古文化保存協会による非公開文化財の秋季特別公開が行われましたので、京都に行き、平素お目にかかれない諸仏等を拝観してまいりました。中でも印象に残ったのが我が宗派の総本山であります東山七条の智積院、および京都駅からほど近い東寺です。
どちらも何度となく足を運んでいるのですが、お参りするたびに新たな発見があります。

智積院は若き日に長期間泊まり込んで宗派の僧侶になるための研鑽を積んだ寺なので、思い出がありすぎ、山内を純粋に鑑賞する心持にはなかなかなれないのですが、今回は落ち着いて見ることができました。庭園はきれいに整備されていますし、心を落ち着けて時を過ごすことができます。そして見ものはなにより、収蔵庫に展示されている長谷川等伯一門による桃山時代の数々の障壁画です。庫内の四面を隙間なく飾る襖絵は適切な温度、湿度で管理されており、自動音声で丁寧に紹介される障壁画はいつまでも見ていたい荘重さと深みを醸し出しています。

東寺は我々と同じ真言宗の寺院ですが、東寺派という別の宗派の総本山です。ネームバリューはさほどではないのですが、れっきとした世界遺産です。もともとは平安遷都とともに建立された官寺(かんじ)、つまり国立の寺院でしたが、のちに弘法大師空海にその運営が託され、密教寺院として長い歴史を刻むこととなりました。ドラマ等で新幹線のバックによく映る、ある意味京都のシンボルでもある五重塔は中には入れないが特別に外から拝めました。そして講堂。弘法大師が密教の世界観を3Dで示した立体曼荼羅は壮観の一語。本尊大日如来を含む中央の五体は重要文化財、それを護る両サイドの天部など十体が国宝。なんとも贅沢な空間です。特に名実とも中心的存在のセンター、大日如来の表情はまさにこの世のすべてを把握し、超越したところにおられる「如来の中の如来」。周囲を威圧する迫力でした。

どちらも拙寺の源流とも言える寺院であり、初心に返り背筋を伸ばして諸仏を拝ませていただきました。密教の奥義をきちんと理解し、檀信徒の皆様に少しずつでもわかりやすくご説明していけるよう、引き続き研鑽を積んでまいる所存です。

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