今月の法話

一大事と申すは、今日ただ今の心なり


江戸時代の臨済宗僧侶、道鏡慧端禅師の言葉です。大事なことは過去のことでも、未来のことでもない。
今日、ただ今をしっかり見つめて生きることだ。そんな意味です。


私たちは今日、パソコンやスマホを使って幅広く情報収集をし、予定を立て、スケジュールを入れて、日常を過ごします。そこに、「こなす」「やっつける」といった思いは、まったくないと言えるでしょうか。


将来の目標に向けての積み重ねの一日としての今日、という考え方もあるでしょうが、それよりも、二度とこない今日という日を大切にして、今日でなければできないこと、今日すべきことを、丁寧に考えて、しっかり実行する。明日のこと、将来のことは置いておいて、今に注力する。


スマホは確かに便利な機器で、世界や友人たちと繋がっていることを手っ取り早く認識でき、音楽や映画も手軽に楽しめます。ですが、その便利さに乗っかるあまり、「静かに考える時間」「自分の思考をまとめる時間」が減ってはいないでしょうか。ちょっとしたすきま時間にも、考えることをせず、ゲームや音楽で脳を刺激することをしていないでしょうか。


幸か不幸か、私(住職)は映像と音を遮断しないと書きものをできない性分になってしまいましたので、この程度の雑文であっても集中することを余儀なくされます。映像や音を目や耳に入れながら考え事ができる、仕事ができる、という方もおられるでしょうが、そういう方も、一日のうち数時間は、一切を遮断して、考え事をする、仕事をする。つまり、今日を大切に生きる。そんな生活を送ってみてはいかがでしょうか。


 





 


 


 


 


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