今月の法話

本尊ご開帳

当山の本尊は地蔵菩薩(秘仏)。いわゆるお地蔵さんで、お釈迦様(釈迦如来)がなくなってから五十六億七千万年後に弥勒菩薩が現れるまでの間、六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)を輪廻する衆生を救う菩薩であるとされます。あらゆる場所に現れ、地獄に落ちた者さえもお救いになると言われています。そのために、人々に親しまれやすい僧形(お坊さんの格好)をしています。

地蔵菩薩は一般的に、頭髪は坊主頭、胸に瓔珞(ようらく)という飾りをつけ、ひじを曲げた左手に宝珠、右手に長い錫杖を持っているか、もしくは与願印という印を結んでおられます。宝珠は願い事をかなえる球、錫杖は野道を歩く際に殺生を避ける目的で自らの存在を知らせるための錫(すず)がついた杖です。

もともとお地蔵さんの信仰がはじまったのは平安時代の後期くらいからです。民衆の間に地蔵信仰が定着した鎌倉時代以降は、造寺造仏や写経など極楽浄土に往生するための経済的基盤や教育の裏付けを持たない庶民の間に爆発的に普及しました。六地蔵をはじめ、身代わり地蔵、泥付地蔵、将軍地蔵などの変わったお地蔵様も多数存在します。室町時代以降は、当山の本尊にも見られる「地蔵三尊」という、脇侍である矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制多迦童子(せいたかどうじ)を従えた形式も多く見られるようになりました。

このお地蔵さんは代々秘仏として祀られておりますが、今年は元号が変わる節目ということもあり、先日の新年会で、檀信徒さんを対象に11年ぶりにご開帳をいたしました。小ぶりながらも超然としたお姿をし、優しいまなざしで衆生を見つめるお顔に、檀信徒さんたちも驚嘆の声を上げておられました。

なお本堂東側の毘沙門堂には、北方世界を守護し、財宝を守るとされる毘沙門天を祀っております。3月の第一日曜にはそちらのお祭りも例年開催し、各種祈願を行っております。こちらは檀信徒さんのみならず一般公開もしておりますので、ぜひお越しください。

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